2021年3月14日日曜日

湯殿山南西尾根スキーツアー

 3月7日、日本全国が高気圧に覆われ、快晴の日。

 天候が安定しているので、月山第一トンネルから入山し、南西尾根から湯殿山を目指すこととする。

赤いトラックが今回の軌跡(GPS、操作ミスのため一時停止あり)


 既に10台近く駐車してあり、ベテランさんと女性の2パーティーが準備中。ベテランさんに、初めてなので後ろ追わせていただきますと挨拶。女性パーティーとも、一言二言あいさつを交わしたが、先ほどのベテランさんは蒲生さんと言い、「飯豊朝日連峰の麓から」というタイトルで多数のスキーツアー記録をネットで発信していると教えられた。

 女性パーティーは鍋森に向かう。トンネル入り口の真上で、左と右に分かれた。既に多数の登山者が入っており、ベテランさんを追うまでもなく、トレースを使わせてもらう。

 電力の鉄柱を超え、しばらく進むと、いよいよ白一色の雪原となる。四方の景色も開け、前方には湯殿山、そして月山が顔を出し、振り返れば朝日連峰に連なる赤見堂などの山々が姿を現す。


 1150ピークと湯殿山南西尾根の鞍部までは快調に進む。傾斜が急になる1250mあたりで、準備をしていたベテランさんたちに追いつく。

 ベテランさんたちは東側の斜面のトラバースを交えながらシール登行を続ける模様。さらに先を行くパーティーはスキーを背負っているので、こちらはツボ足にする。クラストしてかなり固い雪で、アイゼンを持ってこなかったことを後悔。


 先行者の足跡を忠実に追って、ひと登りすると大丈夫そうなのでスキーを履くも、すぐに急傾斜に阻まれ、結局、スキーを肩に担いでしのぐ羽目に。着脱等に時間を喰っているうちに、アイゼンの二人パーティーに追い越される。


 ちなみに、1250mから山頂直下の平原となる1400m先あたりまではツボ足と割り切った方が良いと感じた(技とルートの取り方にもよりますが)。

 山頂からは、すでにベテランさんたちが下降してきた。東斜面をテレマークで大きな弧を描きながら滑降し、途中から尾根沿いをラバー気味に下っていく。

 ようやく山頂。10人近くの登山者、スキーヤー。先ほど追い越された二人パティーはノンアルビールで乾杯。良いですねと挨拶したら、なんと知り合いのM野さん(こちらがブログです)。山で会うのは初めてですねと記念写真を撮り合う。

 下山は、東斜面の凹部分を小回り基調で、途中、ストップしながら、慎重に降りる。なにしろ、雪面はクラストし、ターンのたびに表面が破れ、雪片が飛び、流れていくような状態。それだけでもヤバい感じなのに、雪が飛ばされ、見るからにガリガリなバーンも顔を出す。そんなところに突入しないようにコース取りは慎重にならざるを得ない。

 ベテランさんのシュプールを参考にしながらも、高度を下げないように下る。途中、昼食休憩を取り、少し登り返し、気持ちの良い斜面を滑降する。

 途中、樹林の中で休憩中の5,6人のパーティーがあった。戻るべき尾根は右手下方に見える。この辺りではシュプールやトレースは大越沢に向かっている。途中、尾根に向かうのかもしれないし、そのまま沢を下るにしても、時間は十分だったので、大越沢に入り、下ってみることとした。

 沢筋の滑降は快適であったが、それもつかの間、3mくらいの滝に出る。左岸をヘツれば下れなくもなさそうだが、安全第一、巻くこととする。平坦部分まで登るとトレースがあった。行先は六十里越街道を目指しているようであった。

巻いて出た尾根から大越沢

上の写真を撮った所


 大越沢を下れば六十里越街道に合流する。もうすぐそこであった。再度、沢に降りるも、なんとまた滝である。今度は5mくらい。ここを高巻いても街道に降りるところが崖地のマーク。だいたい街道ではスキーは走らないな等と、不遜な考えも横切る。

 南東尾根よりも、南西尾根は、アプローチも尾根伝いの距離も短く、意外と楽チンで、もう一登りする元気があったので、ここは尾根に戻り、登ってきた斜面を滑ろう等と考えてしまった。

 右岸の斜面をワカンに履き替えて登った。膝下まで抜けるくらい雪が緩んだ急斜面のラッセル。吹き出る汗が焼けた顔にしみる。まるで真夏の登山のよう。傾斜が緩んだところで一休み。沢から上がってくる刻んだ足跡に、なんだか妙な満足を感じてしまう。

Mな足跡

登り返し途中から湯殿山

上の写真を撮った場所


 尾根に登り上げると、多数のシュプールと足跡。鉄塔ありまでは軽快なスキーを楽しめたが、標高が下がるほど、雪は緩み、重くなる。ターンしようとするとスキーが雪に潜り込み、浮上せず、足を取られ、転倒してしまう始末。

 正直、恐怖すら感じた。自然の脅威とさえ思ったが、これこそがバックカントリースキーの醍醐味か。直滑降、プルーク、デラパージュが重要なスキー技術であることを考えさせられた。そんな湯殿山南西尾根スキーツアーでした。

 

2021年3月13日土曜日

快晴の鳥海山は月山森まで

  2月28日。全国的に高気圧に覆われた快晴予報。

 ずっと気になっていた鳳来山経由で鳥海山を目指す。

 鳳来山経由の山スキーの記録は見つけることが出来ず、地形も、一部急坂があり、不安だったが、スキーツアーで先行している跡もあったので、ルンルン気分でスキーハイクをスタートした。

 緩やかな起伏を経ながら高度を上げていく林間コースは、なかなか気持ちが良い。途中、トイレ休憩している間に、後続のボーダーから追いつかれる。

 旅行村が見下ろせて、気分のいい稜線だなんてお気軽ハイクを楽しんでいたら、目の前に鳳来山の急な尾根が登場。巻き道があるのでそちらを進むとすると、山陰の薄いバンドはアイスバーンで覆われている。こりゃ無理だとあきらめ、スキーをザックに括り付け、登り出す。距離が短いのでアイゼンを着けなかったが、夏道と氷と雪のミックスはちょっと冷や冷やもの。

左巻き道、右尾根道

 50mの登りに苦労して、やれやれとスキーを履くも、今度は大沢神社からの、コブコブの登りに手こずり、思いのほか時間を費やし、結局、スキーを脱ぎ、肩担ぎで進む。

コブコブの尾根


 ここを登りきれば、林の中のなだらかな斜面となり、1100mあたりから樹林地帯を抜け出し、鳥海山を眼前に据えながら草津川右岸の尾根を滝の小屋まで上り詰めていく。



草津川沿いの尾根を振り返る(1)

草津川沿いの尾根を振り返る(2)



 鳳来山回りで、やや気力を使い果たした感があったが、滝の小屋には多くのハイカー、スキーヤーがいて、皆さん最高に楽しんでいる様子から元気をもらい、月山森を目指すこととする。

 八丁坂の登山道とは反対側にフラッグが設置してあり、こちらもそれに従う。河原宿は屋根から下は雪の中であった。そう言うと、深く沈んでしまうような雪に覆われたイメージを持ってしまうが、実際は、シュプールも付かないような固い雪に覆われた平原であった。


 月山森が、なぜか遠くに見えた。山を覆う風紋や雪庇に怖気づいたせいかもしれない。千畳敷が見えるところまで平原を進む。すると月山森に登山者があった。千畳敷にも、はじめスノーモービルかと見間違うほどのはっきりとしたトラック痕があった。月山森に居た登山者も千畳敷に下っていく。この時期でも万助道からスノーシューで来れるようなアプローチが可能であることを教えてくれた。

 月山森を覆う風紋が、この山の厳しさを教えている。今日は例外。地形や標高は私に来ることを許すが、気候はハレの日しか立ち入ることを許さない。

 笙ヶ岳、鍋森(てっぺんに立ってみたい)、御浜、そして文殊に至る大きな尾根、この全てが白雪一つに覆われ、滑らかな山容となっている様は言葉には表せない美しさだ。

河原宿の小屋

月山森を遠くに感じた




千畳敷、左が鍋森、正面が鳥海湖・御浜

笙ヶ岳
 

 八丁坂の斜面は快適な滑降であったが、結構、クラストしており、上下動をはっきりして、山回りを確実に捉えられるように下った。



 滝の小屋からの宮様コースは、スキーで滑るのが不快なほど、深い足跡が残されていた。この日の人の多さを表している。

 ツリーランは、ブナの二次林という感じの林の中を行く。ブナの大木の間を滑る月山の雄大さを改めて感じていた。他人の後を追ってしまったが、もっと草津川沿いにコースを取れば、滑るに適した地形があると思う。


 最後は、草津川を横断して、旅行村に滑り降りる。

旅行村から鳳来山

 このルートはGPSデータが公開されていたので、そのとおり進んだが、問題が無かった。草津川は砂防堤の手前で横断するが、スノーブリッジが何か所かあり、少なくとも今回は問題が無かった。


 草津川を渡り、登り返すためにスキーをザックに付けていたら、ハイカーも同じようにGPSを見ながらやってきた。互いに間違いが無いことを確認する。斜面をツボ足で登り返すと、旅行村からの鳳来山への登山道に出る。小沢に架かる小橋をわたり、ちょっと進むとフェンスで囲まれた設備が見え、その先に旅行村のバンガローが現れる。

 旅行村からスタート地点まで戻れる道が山裾にあったが、広く明るい方に誘われていた。最後は車道を戻っていった。

旅行村から鳥海山

月山パウダー滑降

  2月27日、午後から晴れの予報を信じて、ヒデさんと月山志津から姥ヶ岳中腹を目指す。

今回はオレンジ色のトラックです


 志津は風雪。すでに10台近く駐車。準備中のパーティーもある。こちらは外に出たくないモードで、ぐずぐずするが、少し明るくなったところでGO。

 今回は四谷川方面に向かう。

 本当は小沢の手前の丘から入るんだけどと言いながら、まぁ奥から入っても大丈夫だろうといい加減モードで、ゆるい傾斜から入る。小さな起伏を緩やかに登っていくと沢に阻まれる。沢沿いに進むと志津野営場に出た。ようやく沢を渡ることが出来、夏道方面へ舵を切る。

 夏道と合流したが、かまわず登り続ける。雪崩注意の急斜面のふもとに出る。ヒデさんから行き過ぎコール。いやいや適当が楽しい等とうそぶきながら、ふもとを横切る。その先は開けた斜面。ここ滑る?なんて言いながら、先に進む。尾根伝いに登っていくと、傾斜は急になってくる。雪が飛ばされたカリカリバーンも現れ、骨が折れる。ここも結構なアルバイトとなってしまう。


 斜面が緩やかになるとすぐ広い尾根に出る。キャットが通過していた。その跡を追うと、楽々と姥沢に出た。キャットは姥沢のはずれ、夏なら協力金徴収小屋あたりまでハイカーを運んでいた。ハイカー、スキーヤーは上に登る人は無く、そこから石跳方面に下っているようだった。


 こちらは、そのまま重くて深い雪を進み、リフト乗り場で腰を下ろして休んでから、リフトの真下を上っていく。風に飛ばされているのか、それほど雪は深くなく、1400mあたりからはカリカリで、これ以上登ってもあまりスキーは楽しくないだろうと、沢に降りることとした。標高を欲張ったが、ヒールフリーでシールが効かないトラバースは、固いバーンではかなりやばかった。


 沢は、かなりの深雪で、また新雪だけど重く、わたしには初体験くらいの難しいスキーだった。どう滑って良いのかわからないけど、ちょっと動くとスキーの軌道も変わる感じで、タコ踊り的カッコウだったと思う。

 颯爽と滑っていたヒデさんが撃沈して、本当に雪の中に沈んだ。その後を付いていたわたしも避けきれず大破。大笑いしながら、しばらく二人して雪の中でもがいた。

 リフト乗り場の標高を保ちながらトラバースし、石跳側に出る。ここで昼。

 石跳には下りずに、1015ピークを目指して、そこから自然観察小屋を経て南下するコースを取る。

 石跳の対岸を見ながら進むと、途中、幾つものトレースと合流。車道が見える。ネイチャーにはスノーモービル一行の姿があった。今日の深くて重い雪のツアーも終了。

 やっぱり月山は良いです(^^)/


2021年3月10日水曜日

2月の岳さんツアーは、不忘山スキーツアー、仙人沢アイスクライミング、三宝荒神蔵王ダムスキーツアー

 2月は三週続けて岳さんツアー。

 7日、不忘山は藪のスキー。

 不忘山の山スキーといったら、コガ沢に滑り降りるものだと思いこんでいた。初見で単独では、沢に降りる自信が無かったので、ツアーに参加した。

 そんなつもりだったが、スキー場からコガ沢右岸沿いに山頂を目指すも、下り降りたのは二ッ森山からの夏道を経てスキー場に戻るルートであった。ブッシュが埋まりきっていない斜面でのスキーは、むしろ難しく、山を駆け巡る道具としてのスキー技術を試された感があった。最後はパックされたゲレンデを滑り降りたが、山の中のスキーの楽しさを実感した山行でもあった。




 13日は仙人沢でアイスフォールクライミング。
 二本の氷柱の間、背中を押し付けて登った、邪道だけど。アイゼンの前爪を使うことが出来なかった。まったく、蹴り込めない。アイスアックスは、振り回しているうちに、突き刺さってくれたが、足が使えないのでは登れない。
 技術がないので、道具こそ大事ということを感じさせられた。まぁ、懸垂下降で沢に降りたことも含め、楽しめました!



 21日は三宝荒神から蔵王ダムへ。
 沢に降りるまでは、這松のシュカブラで、おっかなびっくり。


 沢は狭く、ターンは上って下ってになる。

   
 ちょうど、名号峰への登山道が沢を横切るあたりから尾根に入り、緩やかな傾斜のアオモリトドマツの林を降りていく。樺の木が見え始めると、それなりの急斜面になり快適滑降。でも雪重い。ここを下ると雨量測候所。
 さらに、だらだらと下っていくと鍋倉不動。ここまでは問題なし。

 
 ここからは尾根は痩せ、傾斜は急になり、雪の付きも悪く、スキー向きではない。途中から旧の登山道沿いに沢へ下る。急で狭く、あまり楽しくない。沢を進むと葉ノ木沢の河原に出る。堰堤を渡渉し、沢沿いに進むと蔵王ダム周遊の道に出る。



 地蔵から八方沢源頭に飛び込んでいくのが楽しいと思います。