2013年3月31日日曜日

3月24日雁戸山


 今日は単独行。
 一人の時は何処に行こうかと悩む。そのくせ、一人の時は勝手気ままなので、出遅れたりもする。今日も案の定で、休日にしては早起きしたのに、家を出たのが9時で、こうなると行く先は笹谷周辺か瀧山かとなる。そこで今回は雁戸山。笹谷峠を経由せずに、カケスガ峰西面をたどり雁戸山稜線に至る登山道を行くこととする。
 湯殿山行の時にボーダーに脇をすり抜けられ、ちょっと悔しかったから、今回は背中にスノーシューとミニスキーを括りつけた。ついでにツアー用のスキー靴に両手スットク。久々のバックカントリースキー?だが、かなり歩きにくい。途中、スコップとスノーシューを無造作に両手に持つ若者に軽々と追い越される。



 この登山道は、沢沿いに、暗い杉林を進み、途中、二度、林道を横断すると、急坂を尾根に駆け上がる。ゴツゴツした尾根道も、傾斜が緩むにつれ雪原となる。


 今日の雪原に、ウサギの足跡が以外に少ないのは何故だ。細い三本の足跡は渡り鳥か。砕かれ、ばら撒かれたような雪片が所々に堆積しているが、恐らくは霧氷が剥がれ落ちたものか。樹木とその影が織りなす雪原の非日常的な景色に、ボンクラな頭脳も、妙に活性化させられるのか、普段は見過ごすような事に目が向き、考えたりしながら登る。

 暖かな春の日差しの中、ゆるゆると進んでいるのに、いつか、汗が吹き出す。上昇する心拍に息が切れる。ようやく稜線に着く。いつものように雁戸山が大きい。ただ、昨年と比べてしまうとちょっとスケールダウン。昨年の、大雪に覆われ、ボリュムアップした雁戸山は圧倒的だった。



 前山と雁戸山蟻の戸渡りの間の丁度真ん中辺りで、先ほど追い越していった若者が横穴を掘っていた。冬山訓練、雪洞掘りかと思えたが、それにしては、足元は長靴。ディバッグはぺちゃんこ。実に軽装なのである。穴掘りに勤しむ若者に声をかけるのもはばかられ、雁戸山へ急ぐ。



 雁戸山への登り口。北雁戸沢側は相変わらず崩落が続き、土砂がむき出しになっている。きっと稜線の烈風に巻き上げられるのだろう、周辺の雪は泥まみれだ。蟻の戸渡りの登り始めが氷状だった以外はキックステップを刻んでいけたが、雁戸山本峰は表面の柔らかな雪の下に硬い層があり、表面の雪がズルズルと滑ってしまい、アイゼンが欲しいくらいだった。ちなみに、この雪質の違いが雪崩を引き起こす。




 午後1時にようやく山頂。春霞にぼんやりとしながらも鳥海山が姿を見せている。山形神室、仙台神室、大東岳が大きい。坂元沢へ落ち込む東斜面や稜線が魅力的だ。




 二人連れのパーティーが到着したのを潮時に下山することとする。キックステップの跡に確実にかかとを乗せ、慎重に下山する。昨年はザブザブの雪に足をめり込ませ、駆けるように下りることが出来たのだが。ちょっと雪質が変わるだけで、山の危険度も大きく動く。改めて遭難の最大の要素は自然の変化なのだろうと考える。何より天候だろうし、自らの変調もあるだろう。何か変だと思ったら慎重に行動するしか無い。山に入ってしまえば、そこが低山であろうが、高山であろうが、自ら行動不能となったときには遭難救助になるわけだからなぁ等と自戒を繰り返す。


 前山への稜線に若者が満足そうに立って足元を眺めている。足元には、天井に穴を開けた雪洞が掘られていた。デポ用なのかと思い、縦走の準備ですか等と聞いてみる。雪像作りや雪洞掘りが趣味だそうで、雪洞掘りの競技(そんなものがあったのも初めて知るが)にも出ているそうで、ここは雪庇状に雪が溜まっており穴掘りには最適らしく、雪洞の深さは2m50cmあった。脇には階段も切ってあって、中に入らせてもらった。なるほど、雪洞である。こういう所でならビバークも可能だと、改めて納得。また何処か出会いましょうと若者に別れを告げ、カケスガ峰に急ぐ。


 カケスガ峰から笹谷峠までミニスキーでダウンヒル。おっかなびっくり横滑り。何しろ、手に入れてから今日はじめて使ってみる。抑えが効かず、ミニスキーはブルブルと左右に揺れる。乗る位置が悪いのだが、足はガタガタで力が入らない。が、だんだん、慣れるにつれ、ターンがつながり、スキーらしく滑りだすが、油断大敵。ちょっとした起伏にミニスキーのトップが突き刺さり、前方に顔面から投げ出される。ザラメ雪に頬を擦るが、久々の大転倒に妙な開放感。


 笹谷峠からは道沿いに進むが、車道の傾斜では全く滑らず、途中から登山道へ入る。登山道が沢伝いになる所で雪が切れ、徒歩に切り替える。
 駐車場に戻ったのは午後3時半頃で、6時間ほどのスノーハイク。慣れない靴とミニスキーで、かなり疲れましたが、楽しい一日でした。
 




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