2018年8月13日月曜日

初めて訪れた和賀岳


平成30年8月11日山の日
 山幹事の鈴木さんと和賀岳に行く。
 2時過ぎに山形発。国道13号を北上。自動車道はありがたい。ほとんどが無料供用区間だが、横手まで行ってしまうと有料。横手IC出口は、そのまま国道13号に接続している。

 横手から大仙の途中の美郷町は後三年の役(1083年)の舞台。道の駅「雁の里せんなん」には八幡太郎義家のゆるキャラ像。鈴木さんは直ちに反応、八幡太郎は源義家、後三年の役で、雁が編隊を乱して飛んでいたのを見た義家が敵が潜んでいることを察知し勝利を得たこと、この戦は、奥州を治めていた清原家の内紛に時の国府であった義家が介入したものだが、これは朝廷の命によらない私戦とされたこと、それでも義家は自腹で功績があった武将に恩賞を与え、この恩がのちの鎌倉幕府の源ととなったこと、前九年の役で滅ぼされた阿部一族の流れをくむ清衡が藤原姓(奥州藤原氏)に復し、清原家が終焉したこと等を得々と話し出す。

 太田東小での右折を見逃して、一瞬、行き過ぎるも、問題なく真木林道に入る。真木林道の入り口は、人家もあり、舗装道路である。ほどなくダートとなるが、よく整備されており、すれ違いは無理なものの、走りやすい林道といえる。
 15分ほどで駐車スペースに着く。その先は車両通行止め。既に4、5台の車両あり。
 駐車場脇には避難小屋・トイレがある。小屋の内装は比較的新しく感じる。トイレには紙も備え付けられ、きれいであった。小屋入口と並んで飲めませんと書かれた水場があり、パイプからドクドクと水が流れている。飲み水が得られるのか、確認しなかった。

 6時過ぎに出発。甘露水口まで10分程度の林道歩き。
 登山口は杉の植林地であるが、すぐにブナ原生林となる。大木もあり、手つかずの原生林と評価された和賀山塊の一端を感じる。


登山路は、大きなジグザグで、上っては緩んで、上っては緩んでという感じ進んでいく。朝日や鳥海なんかと比べると急坂はほとんどない。約1000mの標高差を7Kmの距離をかけて、ゆったりと上っていく。
 我がパーティーは、後続者二人から追い越されるも、ほぼコースタイム通り、上りに5時間をかけてたっぷり楽しんだ。なお、次の地形図にある薬師岳避難小屋は跡形も無い。


 コースの概要は他の案内の通りだが、小杉山から先は熊笹に覆われ、足元が見えず、歩きにくい。特に、小杉山、小鷲倉等の稜線上のピークの周辺は、人の背丈並みに育った笹藪の中を掻き分けながら進まなければならず、赤テープがあり進行方向も道型もはっきりしているものの、段差や地面の偏りに一層足を取られやすいので注意を要する。まぁ慌てず騒がずしっかり進むのが肝要。このへんも深山として名高い和賀山塊の醍醐味と楽しむ点か(我がパーティーは登山道未整備を秋田県の所為か岩手県の所為かと毒づいておりましたが)。
ここが登山路です!
薬師岳から先の草原は、これも言われるとおりのお花畑で、既に終わったニッコウキスゲ、イブキトラノオ、クガイソウ、コバイケイソウ等の立ち枯れの多さに、これはハイシーズンに来なければならないと決意も新たにする。

 今の時期は、ツリガネニンジン(もうそろそろ終わりの頃)、ハクサンフウロ、イワテトウキ、ミヤマシシウド、キオン(これは大きく見事であった)、タムラソウ(これも紫の鮮やかさが見事であった)、ヤマルリトラノオ、トウゲブキ(これも終盤か)、イブキゼリモドキ、シロバナトウウチソウ、トモエシオガマ、イワショウブ等が咲き乱れている。

 和賀岳の山頂は広く。盛り上がったテーブルに花々が咲き、その間の大地は白っぽい石屑が平たいに敷き詰められている。三角点がピーク。その脇に小ぶりの石の祠が祭ってある。


スタート時点から小雨。ほんの一瞬、青空も見えたが、終日、山を覆った雲は晴れることはなかった。眺望がなかったことは残念だが、1400m程度の山なのに、広い風衝地帯を持つ和賀山塊の、気象の厳しさを垣間見ることができたこと、これを良しとする。

マルバキンレイカ(オミナエシ科オミナエシ属)
 初めて見たと言うと、鈴木さんは磐梯山で教えたと宣う。そうかもしれないが、一切記憶にない。キンレイカと名がつくもので覚えているのはコキンレイカ。ダイグラ尾根を一人下ったとき、宝珠山の岩場に確固として咲く鮮やかな黄色の花が忘れられず、乞うて教えられたのがコキンレイカ。オミナエシの仲間。マルバキンレイカも同様。葉っぱはギザギザで全然丸くないが、他のオミナエシの葉っぱは、もっと深く細かく裂けるのに対し、葉っぱの周りだけギザギザで、葉っぱそのものは裂けいていないので丸葉ということらしい。(ちなみに真ん中の花はハクサンフウロ)


タムラソウ(キク科タムラソウ属)
 まるでアザミであるが葉っぱは確かにアザミのようなトゲトゲは無い。花の様子はアザミより艶やかな感じがするが、どうだろう。鈴木さん曰く珍しい花ではないが最近は見かけなくなったとのこと。生育地は「山地の草原など」だそうで、他のところで見かけなくなったとすれば、和賀山塊の原始性、手つかず性のなせる業なのかもしれない。

ヤマルリトラノオ(ゴマノハグサ科ルリトラノオ属)
 ようやく会えた花である。
 新庄は杢蔵山に咲いていると10年以上前から正敏さんに教えられていたが、花期は8月初旬という熱暑の時季であることとや、あまり山登りとしては食指の動かない杢蔵山といこともあって、今日までお預けをしていた花である。
 和賀山塊でも、生育しているのは、この薬師岳周辺だけのようだった。

注意:最後に、地形図に薬師岳手前から甲山を迂回する登山路があるが、またネットで検索すると「和賀岳・薬師連山登山マップ」がアップされているが、まったく刈り払いされておらず、歩く人も少ないらしく道型もはっきりしていない。計画を立てる際には十分留意すべし。

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