7月某日、朝日縦走路でリンネソウに出会いました。
私にとって、リンネソウを見るのは、これが二度目です。はじめてみたのは白馬大池から辿った白馬岳の稜線でした。
山形県では月山に生育しているそうです(志賀竹志氏の「月山花ガイド」)。鈴木幹事は、金姥付近との情報を得、何度か探索したそうですが見つからず仕舞で、やはり白馬岳で始めてお目にかかることになります。
それもそのはずで、山形県が平成16年度に出版したレッドブックでは、山形県内絶滅危惧Ⅰ種と指定され、最近は朝日での生育は未確認と報告されている植物でした。
私が出会ってから1週間後、改めて鈴木幹事を伴って、朝日の生育地を再訪しましたが、たった7日間の違いで、花期は過ぎてしまい、地形の記憶から、群落があった付近を探し回ってようやく見つけることができました。
このとき、丹念に探し回ったことで、不思議なことに気がつきました。
生育しているのは、登山道を挟んで、片側のみで、反対側では、いくら目を凝らしても見つけることが出来なかったのです。
リンネソウは、自家受粉では子孫を残せず、また花粉を遠くに飛ばすことが出来ないため、群落があっても、同じ固体である場合が多いそうです(そのため、環境変化等への適応力が低く、絶滅の危惧にさらされることになる)。
一つの固体が地下茎を伸ばし群落を作っていくため、登山道等があるとそこから先には勢力を拡大できないのかもしれません。
少し離れた場所にもリンネソウを見つけることが出来ました。朝日のリンネソウは、これからも維持・拡大の可能性がありそうです。
ちょっとした意識を登山者が持つことが出来れば、リンネソウも守ることが出来るかもしれません。
来年、また、リンネソウについて報告します。
後日、鈴木幹事が山形県環境科学研究センターにリンネソウが朝日連峰稜線に生育していた旨を報告したところ、県担当者からは、改めて、「近年、朝日での生育確認は無かった。ただ、報告内容からは新潟県側と思われる。」とのコメントがなされたとのことでした。県域については予想をしていたため、我々も山形県側を丹念に探したところでしたが、見つけることが出来ませんでした。でも必ず見つかる予感があります。来年もまた探しに行きます!
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