ところで、自分て、山が好きなのかどうか、怪しいと感じている。
山初め、何となく恒例にしており、ここで頑張らないと山に行かなくなっちゃうんじゃないかと、そんな恐れも後押ししてるって、何を恐れるのか、何だかわからないけど、やっぱ歳か、頑張れなくなることへの恐れか。
ぬくぬくと酒でも飲んでる方が、正月だもの、その方が良いと思う自分と、何者かに負けじと騒ぐ自分と。
前滝手前まで踏み跡がある。物好きな人がいる、例の瀧山の主かもしれない。山頂へまっすぐ突き上げる北尾根にでも行ったのか。こちらは、前瀧コース夏道通り、たんたんと登る。特に問題はないが、慎重に登る。登るほど濃くなる雲の重さになお慎重に登る。
山頂は踏み跡だらけだけど、誰もいない。時折、薄日に明るくなるが、雲は晴れそうにもない。登って、パンを齧って、写真を撮ったら、降りるだけ。
姥コースを駆ける。積もったばかりの雪にしなだれる枝から粉雪のシャワー。さらさらと降りかかるのだ。雪がぼたりと落ちてくるのとは訳が違う。進むには煩わしいが、考えてみれば、今この時だからこその体験か。
放牧場まで下れば、青空も顔を出す。
ところで、前山からハマグリ山の稜線に登り返した当たりに緑色のテント張ってあった。夜を越したか、いやいや休憩用だよな等と訝ったが、戻ってきたときには無かった(当然か)。
帰路は夕刻に追われ、前山のパウダーを走り下り、踏み固められた夏道を脱兎のごとく駆けていた。
今シーズンのテーマ、積雪期尾根通し登山。
2月19日、粉雪が舞う。今回も関沢からトンガリ山を目指すが、ルートは山頂から西に真っ直ぐ降りる尾根。
笹谷の旧街道の入り口左から林道が沢伝いに伸びている。この林道を詰めると西尾根突端となる。尾根突端は杉林。林の中に空間が出来ており、歩きやすいところを選んでいくと赤テープが見えたりする。山仕事で相当人が入っているのだろう。
尾根通しで上っていく。上るにつれ傾斜は急になる。木立につかまり体を引き上げ、雑木林を抜けると緩やかな平原に出る。この辺りは吹き曝し。登るにつれ天候は厳しくなる。北蔵王の縦走路では強風と視界の悪さに怖気づく。目の前にあるはずの山頂まで実に遠い。山頂の標識を覆う樹氷を払って証拠写真を撮る。這う這うの体でハマグリ山に下る。迷い様の無いはずの縦走路なのに不安に駆られる。ハマグリ山、前山、笹谷峠駐車場と無心だった。
この日も登山者は少なくなかった。旧街道入り口から林道を行こうとすると、そちらが笹谷峠の山道かと声をかけられ、後をついて来ようとする登山者があった。おいおい、こんな日に、登たことの無い山に入ろうとするのかと心配になるが、先行者も多く、踏み跡がしっかりしているので、余計なことは言わず、沢沿いの道と伝えた。何事も無く、その人も帰宅したのだろう。
晴れた日に前山から望むトンガリ山と西尾根 |